『窓をあけて……』
dear ―マナ―
このごろ、レイが笑うようになった。
心からの笑顔じゃない、ムリしているっていうのはわかるけど。
でも。
ちょっと前みたいな、悲しい笑顔じゃなくなった。
あたしは、どうなのかな。
心から、笑えてるのかな。
悲しい笑顔を、隠せているのかな。
ううん、きっと無理だよね。
アイも、レイも、たぶんスズさんも気づいてる。
あたしが気づいてるみたいに、きっと。
だって、親友だもん。
どうすればいいのかな。
レイは、越えることができた。
アイは、越えることができた。
スズさんも、きっと。
あたしは?
あたしはどうしたらいいの?
『マナはまだ子供なんだな』
そう、なのかな。
あたしが子供だから、どうしたらいいのかわからないのかな。
最近、アイに会いに行くのが、こわい。
どうしたらいいのかわからないから。
アイの笑顔を見たら。
レイの笑顔を見たら。
スズさんの一点の曇りもない澄み切った笑顔を見たら。
あたしは、泣き出してしまうかもしれない。
笑顔で『大丈夫だよ』って言っても。
悲しい笑顔で、言っても、それはきっと、アイにはすごくつらいことだから。
スズさんにはすごく無為に聞こえるだろうから。
それでも、笑顔であたしを見てくれるから。
あたしは、毎日アイとスズさんを訪ねる。
だって、親友だから。
一番つらい思いをしているのは、アイとスズさんなんだから。
あたしは、少しだけ、頑張ればいいだけ。
乗り越えていけば、いいだけ。
二人が笑ってくれるなら、あたしも笑顔で挨拶しよう。
それが、親友だと想うから。
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2002/04/02
修正 2003/04/06