『窓をあけて……』

dream ―アイ―

 朝。
 めざまし時計にせかされて体を起こす。
 カーテンを引くと、暖かな陽が私を包みこむ。
 開け放った窓から流れ込むさわやかな風が、寝乱れた髪をゆらす。
 まだ、早いというのに、子供たちの元気な声が聞こえる。
 その子たちは窓から顔を出している私を見上げて「おはようっ」って朝の挨拶。
 私も負けずに「おはよう、みんな」って。
 少しすると下から聞こえてくる母の声。
 私はあわてて制服に着替える。
 ああもう。
 こんな時にかぎって寝癖が直らない。
 髪の毛をなでつけながら階段を駆け下りると、最後の3段を踏みはずして。
 いたたた……。
 母は「また落ちたの?」なんて笑ってる。
 ひどいなぁ、まだ2回目なのに。
 …………今月は。
 やっと寝癖を直しおわって時計をみると、もう8時を過ぎてるじゃない!?
 あわててお弁当をつかんで。
 父がテーブルで何かを言ってたみたいだけど、ごめんね、今は時間がないの。
 いってきますを言い終わる頃には門の外。
 毎朝の登校マラソンもダイエットになるから……とか何とか考えたりして。
 ……でも結局遅刻して、先生に怒られちゃう。
 おまけに、夜遅くまで掛けて書いたレポートは忘れるし……。
 もう、踏んだり蹴ったり。
 そんな私を見て、レイは大笑いして。
 でも私がちょっとすねてみせると「明日はモーニングコールしてやるよ」って。
 ………………。
 そんな、ささやかな日常。
 でも私には、あこがれることしかできない、遠い、夢…………。


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2002/01/04
修正 2003/04/06