『はる』 カレイドスコープ様との相互リンク記念☆
『相沢さん。あなたは、つかの間の奇跡の中にいるんですよ』
『奇跡?』
『その奇跡は、一瞬のきらめきです。あの子が、命と引き替えにして手に入れた、奇跡なんです』
『……………』

『あの子は、どうしていますか?』
『いろいろ、変わってしまったよ…………』
『そうですか……。あの子のつよい思いが、不完全な形で今も残っているんです』
『そんなにまでして真琴は………』
『二度目を越えることはない、そう思ってください』
   ・
   ・
   ・
 真琴が再び熱を出したのは、それからまもなくだった。



 美汐は、二度目を越えることはないと言っていた。
 美汐に言われてなくても、俺は悟っていただろう。
 真琴が次の眠りにつくとき、真琴の想いは霧散する。
 今日が、一緒に過ごせる、最後の刻だと言うことを。
 うちのリビングで、俺は真琴を抱えるようにして抱いていた。
 ちりん、ちりん。
 暖かい、真琴の身体。
 ちりん、ちりん。
 意味もなくつけられたテレビの雑音を縫って、真琴の腕につけた小さな鈴の音。
 ちりん、ちりん。
 テレビなんて消してしまえばいいのだが、その一瞬でも、真琴から離れたくなくて。
 ちりん……。
「おい、どうした。ほら、鈴で遊ぼうぜ」
 ちりん、ちりん。
 さがりかけた真琴の瞼を覚ますように、鈴を鳴らす。
『…………代をお知らせします』
 ちりん………。
 テレビの雑音にかき消されそうな、弱々しい鈴の音。
「ちっ………」
 さすがにいらいらして、テレビのリモコンを目で探した。
「あぅ…………」
 目を離した俺を責めるように、真琴が声を出す。
「………そうだな、テレビなんて、どうでもいいか………」
 無為な映像を流し続けるテレビ。
「……………のに」
 真琴の声。
「え? なんて言ったんだ?」
 俺は、真琴の唇に耳を近づける。
「…………………」
「おい、真琴、なんて言ったんだよ」
「…………………」
「真琴…………」
 そして真琴は、口を開く。
「……波留が出て、ずっと波留だったらいいのに……………」
「は!?」
 真琴の言葉。
「………おまえ、波留が見たくて……………?」
「あうーっ!!」
 ちりんっ。
 力一杯振り上げた真琴の腕で、最後の鈴の音が響いた……………。

初のギャグSSでした☆
……え? 野球知らないとおもしろくない?
ちゃんと落ちてない?
…………ほっといてください(涙

2001/06/23
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